2004年、赤土の大地を求めオーストラリアへ飛び出した。
慣れない手つきでキャンプ道具をバイクに載せ、熱風が舞う一本道を駆け抜けた。
両手を大きく広げても囲い込めない宇宙まで続く青い空。
風と雨の浸食で描かれた地球の美術館。
そしてそこに住む人々や動物たちは、まさに学芸員の様に誇りを持って生きていた。
2007年、日本を知るために食廃油を再利用したエコカーで国内世界遺産を巡る旅に出た。
美しい自然に巧みな建造物はもちろん、それを守るための人々の努力そして課題にもたくさん出会った。
日本にとって世界遺産とはなにか。何のための世界遺産か。偉人が遺した財産とは何だったのか。
突き詰めてゆくと、社会に欠けているもの。本当に大切にしなければならないもの。底なしに出てくる。
私たちが今出来ることは、謙虚にそれらと正直に向き合うことなのかもしれない。